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時間ばかりを費やして仕事の生産性を下げてしまう習慣ワースト6
みんな、ふと気づくと週の終わりになっていて「いったい時間はどこに逃げていったのだろう?」と思ったことはありませんか?
筆者は20年の間、経営者を対象とした会社経営のコーチングをしてきましたが、
慢性的にビジネスの妨げになっている依存的な行動がいくつか見られました。
以下紹介する習慣ワーストは、ビジネスマンが仕事に邁進するのを妨害する「時間的依存症」のなかでも、特に陥りがちで有害な6のパターンです。
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1.メール処理依存症
この依存症の影響は、残り5つの依存症を全部足しても追いつかないほど重大です。メールを書いている時のことをちょっと考えてみてください。
・数分ごとに新しいメッセージを受信します。
・受信するメッセージのうちの何%かは朗報なので、メールをチェックしているとアトランダムに元気な気分になります。
・メールのチェックには「ちょっと時間を取る」ので、携帯電話をさーっと上から下まで見るかモニター上でざっと見ていきます。
・メールの受信音や通知の表示は人目を引く工夫がされているものです。
・そして、メールを1つ「処理する」と、何か重要なことをやり遂げたかのような達成感を覚えて、少し気分が高揚します。
ほとんどのビジネスマンは、メールへの対応に時間を取られていることで、自分のビジネスに価値を与えるものを生み出すことができていないと自覚しています。しかし、そうでいながらも「仕方がない」と思い込み、結局メール処理を最優先事項にしてしまいます。
それを「依存症」として考えると違った見方ができます。依存症は意思の力ではコントロールできません。環境や洞察力、あるいは習慣化の力を借りる必要があるのです。
2.ソーシャル・メディア依存症
事実、ソーシャル・メディアはビジネスに役立つツールだと言えますが、往々にしてビジネスマンの注意をあまりにも引きすぎています。それによって、本来なら自分たちの仕事をより創造的なものにするために割くべき時間が、ソーシャル・メディアに使われることになります。
本当にかかっている時間的コストは、ソーシャル・メディアを素早くチェックしたり、記事をアップするのにかけている5分間だけではありません。ソーシャル・メディアを使う直前にしていた仕事の流れに再び戻るため費やす15〜30分が本当に費やしたコストなのです。
3.テレビ依存症
70インチのテレビを見ていようが7インチのタブレットだろうが、ぼんやりテレビを見てしまうのは、ビジネスマンの時間を毎週何時間も奪う時間泥棒として、昔から今にいたるまでその地位を保っています。
本当だったら読書をしたり家族と楽しく過ごしたり、より良い睡眠を取るために使えるはずの時間なのにです(特に最後のより良い睡眠は、夜遅くまでたっぷりテレビを見ることで「リラックス」できると考えている方に考え直してほしいところです)。
4. 締切依存症
締切が迫ってくるまでギアが入らないビジネスマンを見たことがあるでしょう。皆さんは「ああ、あんな感じね」とわかっているかもしれませんね。そして、そんな人はその都度全力投球して、どうにかこうにかプロジェクトを仕上げてしまうのです。それの何が悪いのでしょうか?
そのビジネスマン自身のことだけを考えれば何も悪くありませんが、その人がチームや企業の責任者である場合、組織全体に与える害という観点で見ると、この行為は改める必要があります。
第1に、自分の部下たちを消耗させます。本人は迫りくる締切がもたらす高揚感が好きかもしれませんが、たいていのスタッフは、それによって非常に消耗します。第2に、不健全な社風につながり、才能ある社員の定着にも自分の生産性にも害をもたらします。
第3に、非効率です。締切から締切へと慌ただしく綱渡りをするのは、前もって戦略的かつ綿密な計画を立てていたら享受できたはずの収穫を逃しているということです。
5. 危機依存症
これは時間的依存症にとても近いのですが、危機依存症になったビジネスマンは火事場から火事場へと走り回っているようなものです。これはある種の満足感を得られる麻薬のようなものなのです。
自分は常に答えを出せる人間であり、炎を足で踏み消していると感じられるわけですから。しかし、そういう人たちが気づいていないことがあります。危機中毒のビジネスマンは最初に自分で火をつけて燃え上がらせていることが多いということです。つまり、危機はその人に原因があります。
自分の仕事をしっかり管理したいなら、火を消すよりもまず火の発生を防ぐべきです。それに加えて、最も成功しているビジネスマンや管理職は自分のチームを、火を消すこともできれば前もって火の発生を防止することもできるように育てる必要があることを知っています。
しかし、自分の足で火を踏み消している感覚の中毒になっていると、自分のチームに自力で問題を解決するチャンスを与えることはほとんどありません。自分から率先して火の中に飛び込んでしまうからです。
6.現実逃避的行動
戦略的な挑戦や気落ちする会話によるプレッシャーから逃避する場所を求めて、メールを使っているビジネスマンを何人も知っています。私の場合は、ストレスを感じると、しばしば近所の文房具屋の中をウロウロして本当は必要ないオフィスの備品を買ってしまいます(恥ずかしいですが本当のことです)。それから、すぐに解決できる仕事上の単純な問題を探すことで現実逃避する経営者もいます。
あなたなら、仕事で荷が重すぎると感じたり、ストレスを感じる時はどこへ行きますか?
国を問わず共通の現象ですが、優れたビジネスマンが逃避行動を選択する時は、少なくとも害のないものを選びますし、うまくすると自分にも会社にも実際に役立つことを選びます。
それではこうした依存症をどうしたらいいでしょうか?
この記事の冒頭で私はこう言いました。「依存症は意志の力ではコントロールできません。環境、洞察力、仕事するときの習慣の力を借りるしかないのです」と。
以下はそれを実行するときのコツです。
・環境を変えて、自分の1番深刻な依存症の元が目につきにくくするか、目についたとしても行動に移しにくくしましょう。たとえば、始業から2時間はワイヤレスルーターの電源を切り、その間に大切な仕事に取りかかるという具合にです。
あるいは、メールの使えない場所から毎週2回4時間ずつ遠隔で仕事をしたり、1階にタブレットを置いて、夜中の11時半にお気に入りの番組の新シーズンを見始めたいという誘惑を振り切って夜の睡眠をしっかり取りましょう。
・自分と同じレベルの信頼できるビジネスマンに自分の依存症のことを相談して、改善すべき習慣を、実際に改善できているかを報告する相手になってくれるようにお願いしましょう。自分の依存症が会社や家族、自分の健康に及ぼす負荷に関して理解を深めるようにしてください。
・今までの依存症的な行為の代わりになる新しい習慣を意識的に作りましょう。自分の古い習慣から何を得られたかを自問しながら、それが満たしていたのと同じニーズを、健康的で生産性も高い新しい習慣によって満たせるようにしてください。
・意識的に1時間から4時間の「まとまった」時間を作り、その時間の間は依存症の元になるものは締め出しましょう。メールと格闘しているなら、その「まとまった」時間の間はメールをチェックできる端末は近くに置かないか、インターネットや携帯の電源を切るかしてください。
急いで行動するために締切を求めてしまう習性と戦っているなら、普通の時間を別にとっておいて、その中で締切より前もってしっかり物事ができるようにしましょう。
The 6 Major Time Addictions | Inc.
DAVID FINKEL(原文/訳:春野ユリ)
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