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万里の長城は、世界の観光客にもなじみがある北京市郊外の八達嶺などが知られているが、破壊は観光地化していない地区で進んでいる。18年前の調査では全長の約3分の1が消失していたが、消失範囲はさらに拡大した。
中国の長城学会が昨年実施した調査で、風雨による浸食や人的破壊、管理不足により、万里の長城(全長約6300キロ)の74.1%が悪い保存状況にあるとが明らかになった。
8月初旬から1カ月半、中国の専門家が実地調査した結果によると、完全に残っている長城は2割未満、一部損壊しているのが約3割で、残存部分は合わせて2500キロ程度で残りは消失した。
調査によって、万里の長城が破壊される原因は多く、長年の風雨のほか、壁の隙間から生える樹木も長城にダメージを与えているという。しかし、さらに重要なのは、煉瓦が盗まれ売り捌かれたりする現象がしばしば発生することだ。中国国家文物局によると、現在全長6000キロメートルに及ぶ長城のうち、すでに30%に当たる1961.6キロメートルが消失したことも分かった。
河北省盧龍県にある村では、多くの村民が長城の煉瓦を民家や家畜小屋、道路建設の資材にするため取り外した。また、文字が刻まれた特殊な煉瓦がブラックマーケットで1つ30-50人民元(約600-1000円)で売れるのだという。
長城学会は、文字が刻まれた煉瓦にはかけがえのない文化財的価値があるにも拘らず、数百年に及ぶ自然浸食に加え、人々による破壊によって、消失しつつあるとの認識を示している。
2003年9月、米ニューヨークに拠点を置く民間の非営利組織(World Monuments Fund: WMF)、2004年世界に最も危機に瀕している遺跡・記念物を100ヵ所選んで「ワールド・モニュメント・ウォッチ (the World Monuments Watch)」、万里の長城はこのリストに発表された。
長城保護者の梅景田が花家窯で残長城の状況を見回ている
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