Kaku006
商売の現場は一種の「戦い」であり、「戦場」であるとよく言われている。ただし、中国人の商売人にとって、商売の成敗を左右するのは何と言っても人間関係である。もし、相手との人間関係まで壊してしまったら、元も子もなくなることになりかねない。だから、商売の世界における最高の法則は「和気生財」である。つまり「お互いに仲が良ければ、金は自然に付いてくるもの」だと考える。商売の双方が「和」を重んじれば、きっと双方が儲かることになる。人間関係の「調和」は、財を成す最速の道だと見なされている。
この熟語の中には、もう一つ隠された意味がある。つまり、商売上では敵を作らないことが肝心なことだと忠告しているのだ。敵をあまり追い込まないことは、商売という「戦場」の暗黙ルールとも言える。これは、たとえ双方の利益配分がうまく調整できず、交渉が決裂したとしても、決して双方が築いた「関係」を壊してはいけないということだ。あるいは、決して相手の面子を潰してはいけないとも言える。いわゆる「売買不在人情在」(商売に失敗しても互いに人情を保てるはず)、「做不成生意做朋友」(商売相手になれなくても友人になれる)ということである。
なぜ、中国人は商売上のライバルに対しても「和気」を前提として競争を展開しようとしているのだろうか。儒教の教えである「中庸」の思想に深く影響されていることは無視できない。儒教の中庸思想では、人間の行動準則を「不偏不倚」と標榜している。人間関係を保つための最も良い方法は、たとえ相手と別れても最後まで微笑みを見せることだとされている。
商売の世界では、常に勝つことなど誰も保証できない。負かした相手もいつか自分を潰す王者になるかもしれない。その万一に備えて、たとえ自分が強い立場にある時でも、やはり「和気」で接した方が得だ。次のように中国人を忠告する熟語もある。「万事留一線、日後好相見」(後で会っても困らないように、何事も相手に一線の逃げ道を残しておこう)。
(情報源:中日之窗http://www.86to81.com/index.php?ja/BasePage/62/article_id/000/008/0.htm)
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